「宇宙船」で遊びの世界へ行こう ぼくらの遊具アーカイヴス(其の四)の巻
▲大型の工作物なのに、この色使いで、威圧感を感じさせない。踏み板はしごの手すりは、視認性の高い色を使っている(小平団地・小平市)
▲上層の滞留スペースへは、変わった形状のはしごを登ってアクセスする
▲上層の滞留スペース内部は水色。「宇宙船」の色を決めた人は、かなりおしゃれだと思う
▲小窓から外を見下ろしてみた。結構高い
▲小平団地の別のプレイロットには、石の山があった
此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀綸旨。『二条河原落書』、何時読んでもリズム感があってエッジの利いた文章です。1970年前後の日本だったら、う〜ん、……「宇宙 万博 ビートルズ」?
さて、今回の1基は、そんな宇宙ブームの熱気が詰まりまくった時代の※1、小平団地(1965年管理開始)にある大型コンクリート系遊具、通称「宇宙船」です。ちなみに独特のフォルムと存在感から、密かに有名物件のようです。
- (※1)遊具ハンターの想像です。
大型コンクリート系遊具は、大抵すべり台部分が付いていますが、小平団地の「宇宙船」にはありません。踏み板はしごが2つ、変わった形状のはしごが1つ、2層の滞留スペースだけで構成されています。実にシンプルであります。コンクリート系遊具のタイプ分類でいくと、「砦タイプ」に該当します(勝手に分類)。
丸みを帯びた本体は白くペイントされ、赤い手すりや天辺のドーム型のルーバー(?)が苺のショートケーキのようでなかなかキュートです。お菓子でできた城は、このような雰囲気なのでしょうね(胸焼けしそう)。上層の滞留スペース内部は白又はピンクかと思いきや、全面水色となっており意外性のある色使いがおしゃれです。いやはや宇宙船なのか巨大ケーキなのか城なのか、段々分からなくなって参りました。そして、この「砦タイプ」の遊具で何をして遊べばよいのかと疑問が浮かんだとすれば、アタマがオトナです。
「宇宙船」を見に行った時、丁度小学校高学年くらいの男子4、5人が、「宇宙船」の下で話し合いをしていました。どうやら鬼ごっこをするのに当たって、「宇宙船」の取扱いについてルールを決めている最中のようでした。「宇宙船」は、遊具の構成要素(パーツ)を見る限りでは、すべり台やクライムネットなど派手目なアクティビティが備わっている訳ではありません。しかし、彼らにとっては、そこにあるだけで遊びのイメージが広がる遊具のようです。
調査等であちこちの公園等を回っていると、子どもが遊具で遊んでいる場面を目にすることが多々あります。幼児は「遊具で遊ぶ」という感じですが、小学生にもなると「面白く遊ぶために遊具を活用」し、より高度な遊びを展開している状況が見られます。
『都市公園における遊具の安全確保に関する指針(改訂版)』では、「1-3 子どもの遊びと遊具」の解説において、「遊具は、魅力的であるばかりか、その成長に役立つものでもあることから、遊具の計画においても冒険や挑戦ができるよう配慮する必要がある。」と述べた上で、「子どもの創造性、主体性を大切にし、子どもが自らの工夫で遊びを生み出すことができるものである必要があり、遊び方についても一定の幅を想定する必要がある。」と指摘しています。
まさに、「宇宙船」の取扱いを相談していた男子たちがそれです。「最近の子どもはゲームばかりしていて云々」と言われていますが、今どきの子どもだって、本気を出せばナンボでも創造的な遊びができる訳です。それと同時に、構成要素の面では何ら派手なものがないにも関わらず、「宇宙船」が子どもの創造性のある遊びを引き出していることに注目したいと思います。
こうした創造性のある遊びを引き出す舞台を確保する又は造る、そして創造性のある遊びを許容することが、元・子どもであるオトナの重要なミッションだと思います。時にはリスクに挑戦した結果失敗してケガをすることもあるでしょう。取り返しのつかない事故は別にして、リスクに挑戦してケガをすることは、絶対にあってはならないこと、許されないことなのでしょうか。我々オトナは、そうやって全力で遊びながら時々失敗して学び、レベルアップしてきたはずです。
最近、「子どもを公園でどうやって遊ばせれば良いのか分からない」という話を聞きます。「宇宙船」の取扱いを相談していた男子たちは、より面白く遊ぶために知恵を絞っていました。どうやって公園や遊び場で遊んだらいいのか分からなくなっているのは、我々オトナなのではないでしょうか。かつては、あれこれ工夫しながら思いっきり遊んでいたはずなのにね。
オマケのはなし。
余談ですが、冒頭でチラッと触れた大阪万博のシンボルとして作られた「太陽の塔」、一度現物を見に行くと良いですよ。あれは確かに「べらぼうなもの」でした。強烈な造形だけに好き嫌いはあるでしょうが、現物を前にすれば、映像では伝わり切らない作品の持つパワー、迫力を体感できることでしょう。夜には目の部分が光ったりして、ちょっとびっくり。見ると何だか元気が湧いて来る気がします。是非一度、日本一有名なパブリックアートを見に万博記念公園へ。
文・遊具ハンターかな
(2012-02-21)
▲こちらは、空飛ぶ円盤を模したコーヒーカップ型回転遊具。回転遊具には回転ジャングルジム型、回旋塔型、独楽型、メリーゴーラウンド型、ボウル型等いくつかタイプがある。タイプごとに構造面の特徴、遊具の難易度(リスク)が異なる(都内のとある公園その1)
▲同じ公園にあったスプリング遊具。目の前は歩道のため、完全にテラス席状態。通行人と目が合ったら、ちと恥ずかしい
▲またまた同じ公園。入口の車止めがプレイスカルプチャーだった。こういう使い方は珍しい。反対側の入口はカメ
▲通称「UFO」。鋼製の一方向ぶらんこは改築・更新されても、このコンクリート系遊具は今も現役だ(都内のとある公園その2)
▲モグラ叩きごっこ、砂時計ごっこ、高鬼等々いろいろ遊んだ。雨の日に天辺の穴を傘で覆って秘密基地ごっこもした
▲内側の丸鋼ステップは、傾斜のせいで正直登り降りしにくい。上から出入りするなら、腕力に任せて登り降りした方が楽
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